尿酸とは何か?
尿酸とは、肝臓で生成される代謝物の1つです。

食べ物由来の外因性プリン体と、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)等の核酸の分解で出来た内因性プリン体が原料です。

プリン体と聞くと悪役のイメージがある方が多いと思われますが、実は、あらゆる生物の細胞の中に含まれている物質でもあります。細胞内の核酸の主成分であり、生命維持には不可欠な物質の1つなのです。

また最近の研究では、尿酸自体に、さまざまな疾患をもたらす元凶である酸化ストレスから、我々の体を守ってくれる作用があることも分かっています。

尿酸の基準値

尿酸は、7.0mg/dLまでが基準値内です。
これを超えると異常とされ、高尿酸血症と呼ばれます。血中の尿酸値が7.0mg/dLを越えてしまうと、関節内に尿酸が溜まってしまうためです。

尿酸が高いとなぜいけないのか

尿酸値が高いと「痛風になる」と考える人が多いと思いますが、実は高尿酸血症のリスクは痛風だけではありません。高尿酸血症は心血管疾患や慢性腎臓病など、動脈硬化に関連した疾患のリスクでもあります。

血中の尿酸値が高い状態が継続すると、関節内に尿酸塩として蓄積してしまいます。
その結果、痛風発作が起きるのです。痛風発作とは急性の単関節炎であり、脚の関節に多いと言われています。

診断は関節鏡などで関節内の尿酸塩を確認することで行われますが、身体を傷つける検査であるために必ずしも全症例で行われるとは限りません。
また、発作時の血中尿酸値は低くなっていることが多いと言われており、発作時の尿酸値よりも、過去に高尿酸状態がどの程度継続していたかが重要となります。
治療を行わなくても1-2週間で自然緩解すると言われていますが、再発があります。そのために血中の尿酸値を下げ、痛風発作の再発を予防する必要があるのです。

高尿酸血症の方は、プリン体から尿酸産代謝時に産生される酸化ストレスと尿酸それ自体の影響で、血管の内皮細胞の障害がおきていると考えられています。
実際に多くの疫学研究で、尿酸の高値は高血圧、脳卒中、心血管疾患、更には慢性腎臓病のリスクであることが示されています。つまり、これらの疾患を予防する意味においても高尿酸血症のコントロールの意義は大きいと考えられるのです。

高尿酸血症の予防

高尿酸血症の原因は遺伝的要素もありますが、生活習慣にも依存するものです。

産生過剰型のケースでは、高プリン食(肉類/魚介類など)やビールなどのアルコールの摂取、また果糖の過剰摂取などが原因であると考えられています。高尿酸血症の方はこれら食生活の見直しが推奨されます。

尿酸の尿中への排泄低下の原因もまた、生活習慣にあります。肥満や糖尿病によるインスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)やアルコールが原因であると考えられているのです。

プリン体が入っていないアルコール(焼酎など)の摂取でも尿酸値が上がる可能性がありますので、注意しておいてください。

まとめ

尿酸値が高いことはが痛風のみならず、心血管疾患や慢性腎臓病などのリスクでもあると考えられています。

高尿酸血症の原因は遺伝要素もありますが、生活習慣の影響も大きいものです。
生活習慣を適切に管理し、尿酸値を下げ、痛風、心血管疾患や慢性腎臓病の予防に努めることが大切です。